離島のリゾートバイトで、何度か船での別れを経験した。
船に乗っている、島を出ていく人。
島に残っている、見送る人。
両者の間には、お堀のように海の水が横たわっている。
汽笛が鳴る。船が走り出す。
お互いに手を振る。
絶対相手の元へは行けない距離が、だんだんと開いていく。
やがて姿が見えなくなるまで、手を振り続ける。
船での別れには、時間がかかる。
いつでもどこでも連絡のとれる今の時代、
お互いの距離が開いていく、それは相手と自分が離れていくことを体で確かめる儀式なのだと思った。
